4/22にFENDIのHAND IN HAND展へいってきました!元デザイナー目線でブログ書きます。
はじめに
今回の展示会はFENDIのアイコンバッグのピーカブーやバゲットを作るバッグ職人やテキスタイル職人(素材)のクラフツマンシップと地方の伝統芸にフォーカスしたものです。バッグの他に道具や素材、パターン(型紙)が展示されています。また職人も来場しているので実際の作業工程を見学することが出来ます。
ちなみに無料です。興味ある方は早めに予約をどうぞー
ファッションの展示は自分が作る前提でガン見してしまう
わぁ、綺麗だな>作れるかな>脳内でシミュレーション。これが私の美術館の見方。というか癖。だから自分が作る前提で見ています。心の中はタダで学校きた気分ラッキー。
>> ピーカブーの職人コーナー
バッグ職人がピーカブーというバッグの側面を手で縫っていました。皮革や毛皮を扱ったことはある。簡単なバッグの制作経験もある。なので何となく工程が分かります。でも専門ではありません。だから裁断>シール芯を貼る>皮ボンドで接着>縫穴あける>手縫い▶︎今ココかな?とか思って見ていました。
・縫い終わりの糸始末ってどうしてんの?
・縫うスピードは? >丁寧なスピード
・穴開けの道具って? >1つ穴だ!
・ボンドやシール芯、コバ塗料はなに使ってるんだろ? >無かった笑
感想は、"手で縫っている、落ち着く"です。大量生産の場合は生産管理が秒単位で縫製時間を決めているので、優雅に縫う事はないです。ハイブランドのラボは誇りと愛着を持っているなと感じます。今、異なる業界でAIと戯れている身としては余計に"手で縫う、落ちつく"は簡単に消してはいけない感情だと強く思いました。
>> 毛糸の織物コーナー
これの正式名称はなんでしたっけ。ググれよと思うのですが名称なんて本質的でないので昔から気になりません(笑)とにかくカーペットやタペストリーで使うテクニックです。このテクニックは好きでひたすら調べていた時期があります。私のピンタレストには専用のインスピレーションのフォルダがあるくらいです。だから「凄いアイデア!」というよりは「だよね!面白いよね!それで、どう昇華したの?」
このテクニックは毛糸というよりは素材を変えて使ってみたいです。無機質な物でやると面白そう。立体的な生地て立体を作るのは好きです。
・ハサミ! >それ使ってるの?かわいくない?
・糸かけってどう? >脳内シミュレーション
・イタリア人のパターンだ!>意外と丁寧だ。展示用かな、、
・編む指示書だ! >こんな感じか、マネできるかな
>> 織機を使った織物コーナー
めっちゃ触りたかった!後ろからガン見してシミュレーションしてました。織機って横に糸入れたあと都度糸を切っていて驚きました。配色重視。しかも糸始末の仕方が長めに切った糸を上の段に差し込むだけ!わりと大雑把(笑)ずっと見ていると、なんだろうパソコンを使ったオペレーション業務と被る。姿勢とリズムですかね。
ちなみに職人は日本人。しかも若い。FENDIの目の付け所よ。日本よりも日本を知っているかも。恐るべし探究心。
>>番外:レース編み職人
人柄が面白かったです笑。たぶんイタリアの方かな?孫や家族とzoomかfacetimeしてました。エキシビジョン<家族。全然縫ってない笑。いいぞー!あと来場者の質問に対してはインスタに直接DMしてって言っていました笑。日本人職人との差よ。たぶんイタリア人の彼女のテクニックは仕事と言うよりはもっと身近で自然なもので生活の一部なんだと思います。
「手作りならではの不正確さ」すなわち人間らしさが好き
シルヴィアさんの言葉で"手作りならではの不正確さ"ってあったのですが、全く共感!インスピレーションになるから写メ。完璧なのは人間ぽくないし、正しいことは必ずしも正しいと思わない。分かっているけど出来ないところが人間ぽくて可愛いと思っていたりします。<脳内は美空ひばりの愛燦燦
AIチャットボットやAI分析でDXだ!って仕事をしていると、今の時代って間違えたくない。損をしたくない。賢く生きたい。最短距離の答えがほしいっていうトレンドに見えます。DX推進の提案業務していて何ですが引いた目線も持っていたりします。DXやAIをテーマに作品をつくれと言われたらコンセプトは「人間の狡猾さ」です。
匠の技というより背後にあるコミュニティや職人のアイデンティティに惹かれる
これもシルヴィアさんのコメントから、そうそうと思ったところ。技術への尊敬はもちろんありますが、作品には職人の生き方が出ると思っていてそちらの方に興味を持ったりします。
どうしてその技を引き継いだのか。どうやってこの技は生まれたのか。この時代まで続いたのはなぜ?
まとめ:FENDIというよりシルヴィアさんが好き
>>革新と伝統技術
FENDIが素晴らしいなと思っているのは革新と伝統技術が同居している所。これはもの凄いことです!!伝統的な技術であればあるほど、職人はその美しさを再解釈することを嫌うからです。職人はその素材の1番美しい表現方法を知っているので、その表現を壊す行為は正気の沙汰とは思えないんです。
例えば、毛皮が最も美しく見えるのはナチュラルに扱ったとき。細かく切ったり刺し毛を抜いたり刈ったりするの違う。けどFENDIはモザイク柄に挑戦する。モバイル柄は毛皮を細かく切ってパズル状に組み合わせるテクニックです。これはデザイナー自身が伝統技術を学び美しさが何か分かった上で職人をリスペクトしていて、更に職人と信頼関係があるから成立しています。
>>デザイナーvs職人。企画vsエンジニア。
私は現場で職人が「これだからデザイナーは分かっていない」と捨て台詞を吐くのを見ていました。デザイナーに職人リスペクトがないからです。上っ面な聞こえの良い発言は信じません。デザインやパターンを見れば分かります。日本は学歴を重視するし、なぜか技術者より企画が立場が上な事が多くて個人的には違和感を持っています。
私はデザイナー時代、毛皮の過去パターンを読み漁り、連日に渡って毛皮を縫った事がありました。すると職人から過去にそんなデザイナーはいなかったと驚かれました。まじです。
これはIT業界も同じで、プロダクト企画の担当なのですが、これまで実際のクラウドコンソール触る人いなかったとエンジニアに言われました。まじです。
>>シルヴィアさんと職人の信頼関係
革新的な事をしたいならデザイナーと職人の信頼関係がキー。詰まるところ人と人。人間性。シルヴィアさんは茶目っ気があって挑戦的。でも職人ファーストで職人のアイデンティティまで愛している。だからFENDIがFENDIとして成り立つんだと思います。
革新的と伝統技術が同居しているFENDIはやっぱりすごい!